概要
最近のNZの不動産市場は物件の売れ足が早く、バブルに近い状況すら呈している。一例を挙げると、売却を提示したその日のうちに3件の買い申し込みがあり、その提示価格が売却希望価格を上回り、即日契約にいたるといったケースすら見受けられる。
NZの不動産、特にオークランドを中心とした住宅不動産への需要がこれほどに高まる理由として次の4点が挙げられる。
第1は、中国・韓国からの移民の急激な増加。第2は、アメリカズカップに向けて選手および観客からなる外国人来訪者の住宅ニーズ増。第3は、経済成長率がこのところ3%前後を維持しており、全般的に経済が着実に伸びていること。第4に、NZの人々が投資の対象として不動産が何よりも安全かつ確実であるとの信念を持っていることが挙げられる。
ここ2〜3年の特徴としては、欧米人や欧州人が定年後のホリデー・ホームとして、オークランドの郊外の土地を購入し、家を立てたり、リゾート地の高級コンドミニアムや一軒家を購入するケースが目立っている。また日本人の高齢者層を中心に、日本の寒い季節にNZでの夏の生活を楽しむための不動産購入が静かなブームなっている。
価格動向
NZでは、趣味と実益を兼ねて購入した家をきれいに使い、庭の手入れをすることに莫大な時間をかける人が多い。購入した資材で自分でガレージを改造したり、増築する人もいる。たとえ築50年が経過した家でも、台所を中心に改造すれば外見はともかく中をモダンに見せることが可能となる。そのため資産価値を高め、維持することに努力が注がれる。老後はその家を売って小さい家に住み替え、生活資金を蓄える人が多い。
オークランドの住宅用不動産の平均価格は日本円で約1700万円である。それより少し格が上がった上物の手頃な物件の例としては、、市内中心から車で20分ほどの閑静な住宅地で、土地200坪、建坪60坪、築30年までのレンガ造りの住宅で価格は、2500万円ほどとなっている。同様な物件は、地方都市に行けば1500万円ほどに下がる。
購入手続き
NZでは、非居住者による住宅用物件購入に関して地域・広さに関する制限はない。商業用の土地やビル・建物についても5000万NZドル(約30億円)以下ならば自由に購入することができる。牧場や農地を購入する場合は、5ヘクタールまでの広さについては制限がなく、それ以上の広さの農地については、海外投資委員会に申請をし、その許可を取る必要がある。
NZで不動産を購入する場所は、不動産業者を仲介し、売主と直接契約書を取り交わすのが一般的である。気に入った物件があった場合、口頭ではなく必ず契約書を作って希望価格(提示価格)と条件を提示してから交渉の後両者が同意し、最終的な契約書の策瀬を行うといった手続きを踏む必要がある。最終契約書は、オリジナルの契約書から多くの点が修正されているのが普通である。契約成立後、購入契約の保証として頭金を不動産業者に支払い、物件の引渡し時点で残金の支払後初めて不動産の権利が移譲される。
買主は不動産業者に手数料を支払う必要はない。売主が契約金額の4%程度を手数料として不動産屋に支払うのが通常である。手続きに関する費用は、日本の司法書士にあたる弁護士に支払う手数料として5〜10万円は必要である。買主・売主ともに弁護士を雇用する義務があり、弁護士は契約諸条件が履行されたかを確認し、引渡しの際に最終金額の支払と物件の引き渡し、権利書の登記手続きを行う。